物上げ日記

物上げ日記-その30 相続(税)対策の営業アプローチ

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今回は、いつもの任意売却ネタから少し離れまして、業界で沸いている相続(税)対策ネタを取り上げてみます。

先日、私の知っている任意売却を主力とする不動産会社の鈴木社長(仮名)とお茶をしばいた時のこと。

鈴木社長 「不動産業者も、これからは相続対策やで。」

私    (うん、確かに間違いではないけど、ちと遅いのでは?)

鈴木社長 「ワシ、こんな資格取ったんよ。結構、勉強になるから、

      自分も未だやったら、いっぺん取ってみ。エエで。」

鈴木社長が見せてくれたのは、『相続診断士』の資格証と、その相続診断士のテキスト。

私    (なんで、テキストをカバンに入れとんねんっ!?

      常に持ち歩いてるんやな・・・

マジマジとそのテキストを見せてもらうと、相続診断士というだけあって、結構、相続についての全体像や部分的にも詳しくいろいろと書かれていて、良かったように思います。この資格制度は約5年ほど前にできたそうですが、約18年間、任意売却と平行して相続対策での土地活用提案営業も行っていた私でも勉強になるところがたくさんありました。

これからは、「相続対策の時代だーっ」と今から勉強を始められる不動産業者さんもいらっしゃると思いますので、ご存知の方も多いかも知れませんが、土地有効活用のネタをひとつ書きます。

『畑』や『田』の有効活用・・・といえば、

調整地域では産業用太陽光を除いて難しいことや、街中(市街化区域)でも農地法による農転(農地転用届け)が必要なことは、宅建士であれば誰もが知っていることですが、生産緑地に指定されている畑や田の有効活用については、ご存知ない同業者も多いのではないでしょうか。(この時の鈴木社長との会話でそう思いました)

生産緑地に指定されている『田』や『畑』は所有者が死なないとどうにも料理できない・・・と。

(ここからは大阪市内でのお話です)

生産緑地法は今から遥か昔に制定されましたが、行政(国)が都心部の市街化を促進するために、宅地よりも数十分の一程度だった農地の固定資産税を宅地並みに上げたんですね。

「オラオラッ、さっさと農地を売っ払うなり、建売するなり、マンション建てるなり、街づくりせんかい! 都会で農地なんかやってても割りに合わんやろ。」という感じなんでしょうね。

ところが、農地の所有者たちは、

先祖代々の物件だから・・・とか、

借金するのが嫌だから・・・とか

(とはいえ、当時はバブル崩壊後なので銀行も貸しませんでしたが)

ワシは死ぬまで農家でいくんやーっとか、いろいろな理由で農地を止めない人がたくさん居て、その人たちの救済措置(!?)として、

「よーし、じゃ、分かった。嫌なら別にかまわん。

その代わり、途中でやっぱ止めたいとかぬかすなよ。

死ぬまでそこで農業をやれよ。

それやったら、一般農地(郊外の農地)並みの低い

固定資産税の税率にしたるわ。」ってな感じですかね。

所有者死ぬまで転用できないとは・・・

ところが、実は生産緑地の指定を外すにはあと二つの方法(理由)もあるんです。

一つ目は、生産緑地指定を受けてから(平成4年)から30年経っていること

 ⇒ 今は平成26年なので、平成34年まで無理ですね。

(これが業界で言う住宅市場2022年問題のこと)

二つ目は、所有者が農業をできない状況になってしまった時

 ⇒ ただ、ジジ・ババになったからというだけでは駄目です。介護認定を受けるなどしてから、医師等による証明書が必要です。

あと、土地の一部を誰かに賃貸(小作)契約をしていたら、それも当事者同士の判断でOKですので打ち切らないとだめです。(届出が必要です。農地法 第18条)

大まかな流れとしては、

① 所有者がそこで農業を続けれない状態である事を医師に証明してもらう

② 市(行政)に農地として買取申請を行う

この時、市には買取の優先権があり、市が買わなければ一般向けに「だれか、農地として買わんかね?」と買い手を公募します。この期間、市と一般と合わせて最低3ヶ月間と決められているのですが、この時、『農地として販売』ということなので、「鼻クソみたいな売却代金とちゃうの?」とご心配される父兄様もいらっしゃると思います。でも、ご心配無用。基本は農地としての相場価格ですが、売りたい金額は相場に基づいて『自由』なんです。

伝わってます?

つまり、近隣の更地価格で申請しても駄目じゃないんです。言い値で買ってくれるとは思えませんが・・・。

③ 結局、買い手が見つからなかった場合は、生産緑地指定による

  行為制限が『解放』されるので、農業委員会に農転をして・・・

  売却するなり、有効活用するなり・・・お好きにどうぞ。

  となります。

④ ですが、先祖代々で相続リレーしてきた物件なら、ずっと相続税を

  伸ばし伸ばしになっているはずなので、

 (謄本に国税局なんちゃら・・・とあれば、間違いない。)

  生産緑地を外した時にその代々のツケを払わされることになるので

  税務署で税額を事前に確認しておく必要がありますね。

  特に売却の場合は、ものによって譲渡税とダブルパンチでKOの可能性もありますから。

<本日のまとめ>

相談者から「ウチは生産緑地やから」と言われても、そうですかご愁傷様・・・と言わずに、方法は無いこともないんですけどね・・・と次につなげましょう。あとは、地主は看板力(信用)に弱い人が多いので、有効活用の大手メーカーの担当者と同行した方が、話が進みやすいかも知れませんね。

同行した際ももちろん、しゃべるのは大手メーカーの担当者じゃなくて、あなたですよ。主導権は私にあると地主に分かって貰わないと次の『おかわり』はありませんから。

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