物上げ日記

物上げ日記-その5 所有者が失踪した物件の任意売却

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さて、今回は任意売却を長年やっていると何度か経験することがある、任意売却したくても『所有者(債務者)』が失踪してしまって、全く連絡もとれず、どうすればいいのか?という問題についてお話しします。

例えば、多いのが『嫁・子供』だけを物件に残して失踪しているケースで、次に、物件を貸していて、中には店子(借主)が住んでいるが所有者(貸主)が失踪していて連絡が取れないケースです。

配当要求終期の公告で上がってくる物件の場合、後者のケースは最初から『お絵かき』している事も多いようですが、前者の場合は深刻な問題ですね。でも、心配しなくても解決策はあります。このような時には、

不在者財産管理人の選任』失踪宣告』という

2つの方法があります。

『不在者財産管理人の選任』

 ⇒行方不明者が所有する財産について、行方不明者に代わって財産を管理する管理人を選任する。音信不通で行方不明になっている事(期間は関係ない)。申し立てをしてから約3ヶ月ほどで選任される。

失踪宣告』

 ⇒失踪宣告を受けた行方不明者は法律上死亡したものとみなされる。消息不明から7年以上経過(災害による消息不明なら1年以上経過)した時、 死亡したものとみなされる。申し立てしてから約1年は必要である。

不在者財産管理人は行方不明者が生存している事を前提に扱っているのに対し、失踪宣告は行方不明者が死亡したものとして扱います。また、不在者財産管理人は勝手に選任できるのではなく、家庭裁判所が決定します。(詳しくはこちら

そして「不在者財産管理人の選任」は、あくまでも不在者の財産を管理する人を選ぶための手続きなので、遺産分割協議に参加したり、協議に同意するといった行為を行うことは出来ません。

つまり、不在者財産管理人が遺産分割協議に参加したり、同意をしたり、財産を処分したりするためには、別に

「不在者財産管理人の権限外行為許可」の手続きが必要です。

配当要求終期の公告が出た日にお会いして受けた失踪相談は、競売入札(任意売却可能期限)まで残された期間が3ヶ月~4ヶ月と少なく、正直、ギリギリ間に合うか合わないかというトコロです。

なので、競売申し立てされる前(差押情報の段階)であれば、十分間に合う可能性が高いと言えます。

あとは、手続きするにあたって債権者に対しては・・・、あなたならどうしますか?

 

 

※この記事は、2012.10.23に執筆したものを旧サイトから移植・一部修正等したものです。

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