賃貸経営の雑学

民泊新法(住宅宿泊事業法案)が2017年6月成立

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minpaku

住宅宿泊事業法案(通称、民泊新法)が、2017年6月に成立した。これによって民泊ビジネスはどうなっていくのか?

民泊新法は規制緩和

日本の空き家問題解消と訪日外国人による経済活性化をうまくマッチングさせるべく、不動産オーナーの希望の扉ともなっている民泊ビジネス。まずは、現在で考えられる民泊ビジネスの3タイプを見てみよう。

民泊ビジネスモデルの3タイプとは?

民泊のタイプ(種類)は、その法(条例)によって分けられる。

1・民泊条例上の特区民泊

これは、国家戦略特別区域で行う民泊。条例を定めた自治体でのみ運営が可能で、この記事の執筆現在では、「東京都大田区」「大阪府(不可地区有り)」「福岡県北九州市」に限定されている。

2・旅館業法上の簡易宿所として民泊

旅館業法で定められた宿4種類のうちの1つ。都市計画法上による用途地域というものが「住居専用地域」に指定されているエリアでは運営できないし、建築基準法上や消防法による規制が厳しく、既存の古い家屋を改装して行うには多くのハードルがある。

3・民泊新法による民泊

建物が「住宅」であれば、住居地域でも営業が可能。但し、営業日数は年間で最大180日という制限がある。この民泊新法は、2018年に施行されると予測される。

外国人宿泊者に地図と自転車を貸し出すと喜んでもらえる

なぜ、民泊の整備が必要なのか?

それは、近年、訪日外国人が増え続けていることで、部分的ではあるが宿泊施設が不足気味になっているから。そこで、外国人旅行者を有料で宿泊してもらう「民泊」のルール作りが必要となり、民泊を「全国で規制緩和」するための住宅宿泊事業法案(民泊新法)が作られた。

政府は、民泊新法で規制を緩和し、訪日外国人を3年後の2020年までに4,000万人まで増やしたいという目標を打ち出している。

今までは、無許可で営業する民泊事業者も多く、摘発により広告費を払わずに一躍有名になるところも出てきている。しかし、民泊新法では、ホスト(家主)や運営代行業者(管理会社)、Airbnb(エアービーアンドビー)のような宿泊仲介業者のそれぞれに対しても、ある一定の規制を設けている。今回は、民泊ビジネスを検討しているあなた(賃貸オーナー)の視点で見ていくことにしよう。

民泊新法は原則、都道府県に「届出」すればOK

民泊新法では、都道府県知事(保健所のある市は、その市長)へ「届出」することで民泊運営を始めることができる。その届出には、商号や名称、氏名・住所・物件所在地・管理業者の情報、建物図面などが必要となる。この届出を偽った場合は6カ月以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられるかも知れない。届出すら怠った場合は、「旅館業法」による罰則の対象となってしまうので注意が必要だ。

民泊では、宿泊者がいる場合にホスト(家主又は運営者)が不在となる場合には、運営業務を管理会社へ委託する必要があるが、ホストの自宅が隣りにある場合などは例外となるケースも出てくるかも知れない。

民泊において、ホストに義務づけられる事としては、部屋の床面積に応じた宿泊者数の制限、宿泊者名簿の管理、掃除などの衛生管理、災害時における安全対策(非常照明・避難経路表示)など。尚、消防設備については、今のところ規定は無い。

民泊新法による主な制限とは?

1・都道府県知事への届け出

ホスト(家主又は運営者)は、その氏名・住所、物件所在地、管理会社情報、建物図面などを届け出る必要がある。

2・住宅宿泊事業の標識設置

国が定めた標識を建物の外から見えやすいところに設置する必要がある。

3・年間の民泊営業日数は最大180日まで

180日を超えた場合はどうなるのか?その場合は、無許可の旅館と見なされて、旅館業法による罰則を受けるので注意が必要だ。

4・管理会社への業務委託すること

ホスト不在型(家主が常駐しない)の場合は、住宅宿泊管理業者に委託しなければならない。

5・集客は仲介業者へ委託すること

自分自身で情報を発信して集客せずに、第三者へ委託する場合には、旅行業者もしくはAirbnb(エアービーアンドビー)のような住宅宿泊仲介業者に委託しなければならない。

6・営業日数を業務報告する

民泊としての営業日数を登録した行政に定期的に報告する必要がある。報告を偽った場合は30万円以下の罰金。

民泊で180日を超えて営業したい場合は?

ホストである不動産オーナーにとって、1年うち、約半分の180日までしか営業できないとなると、運よくフル活用できたとしても稼働率は50%。

これでは「何、ワケの分からんことを言うとるんじゃ。それじゃ商売あがったりや!」と多くの民泊運営者が怒るかも知れない。しかし、これもまた厳しい規制を守って営業している既存旅館の先駆者利益を考えてのこと。

現時点で思いつく解決方法は2つ。

1・「特区民泊」(国家戦略特別区域)で運営する

特区民泊は条例なので、民泊新法とは別。つまり、特区で民泊を運営すれば民泊新法の180日制限を受けないことになるので、やりたければ365日営業OK。但し、現時点では東京都大田区などの特区は最低宿泊日数が6泊7日と言った悩ましい制限もあるので、どういう効果になるのかをよく確認してから検討したい。

2・民泊繁忙期以外は短期賃貸で運用する

日本政府観光局が発表した2016年の訪日外国人は約2,400万人。観光局が公表している月別データを見ても繁忙期と閑散期の差が大して無いようにも思えるが、ここで言いたいことは全ての部屋を民泊するのもいいが、一部はマンスリーやウィークリー賃貸として登録して二刀流で運営する方法。その時の状況を見ながら、民泊登録している部屋をウィークリーとして使用したりして、できるだけ空室を無くしたいもの。

空室対策としての民泊を考える時は?

余りにもローカルなところで、駅からバスで30分のところにあるワンルームマンションの空室を民泊で活用したいとなると、不可能ではないが相当な労力が必要と思われる。その場合は、妥当な価格で売却し、資産の組替えをしたほうが賢明かも知れない。

しかし、色々な公表データを見たり、数人の外国人の意見を聞いたりしていると訪日外国人の多くは観光目的で来ているようだが、日本の文芸や食などを堪能しにくる者も割といるように感じられた。つまり、立地が少々悪くても「日本」を味わって(体感して)もらえるサービスを付随させて、感動してもらうことができれば、FacebookなどのSNSなどで口コミが広がり、たちまち人気の民泊施設として営業いらずになるかも知れない。

まずは、airbnb(エアビーアンドビー)などの民泊仲介サイトで、どんな物件がいくらの宿泊料金で登録されているかを見てみよう。リサーチは、どんなビジネスにも欠かせない。

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