今回は、大阪の賃貸物件を客付けしている中で感じた「お金をかけずにできる空室対策」についてお話します。
賃貸物件の空室対策は、いくらでもお金をかけるなら何とでもできますが、そうすると採算性が合わないという問題が出てきます。(不動産オーナー業以外に事業を行っていて、非常に儲かってるから節税対策でやっているという人なら別ですが)
多くの場合、家賃収入で生活する為に賃貸物件を所有している家主さんだと思いますので、これからお話しすることが今お抱えの空室解決に役立てば幸いです。
1.物件名を変える
居住用物件の場合、「物件名」は重要です。昔は「コーポ田中」とか「佐藤マンション」など、家主名を盛り込んだ物件名が主流でしたが、今の世代ではマイナスイメージ、つまりダサいという事になります。
賃貸といえど、住居は人の生活の豊かさを表すバロメーターといえるので、入居者のイメージが上がるネーミングが好まれる傾向にあります。
事業用物件の場合は、既存テナントが既に名刺や会社概要など多数のものに物件名まで表示していることが多いので、変更するのは簡単にできませんが、住居系の場合は割と既存入居者の承諾も取りやすいので、オシャレな物件名に変えましょう。
日本人は西洋文化をオシャレだと感じている人が多いので、英語やイタリア語、フランス語などでネーミングするといいでしょう。
外国語が分からなくても大丈夫。ネットやアプリでGoogle翻訳を開き、あなたが好きな言葉を日本語で入れて、変換したい外国語を選べば、翻訳してくれます。
例えば、物件名に「優しい心」という意味の言葉を外国語で付けたいとき、
英語なら「kind heart」
(カインドハート)
イタリア語なら「Cuore dolce」
(クオレドルチェ)
という言葉になります。日本語で「優しい心」という物件名なら、こっぱずかしい気もしますが、外国語だと何となくオシャレに見えますね。
いろいろな言葉を翻訳アプリ等で変換してみましょう。
2.鍵は現地におく
空室物件のカギは現地に設置しましょう。これは、あなた自身が鍵の受け渡しをする必要が無くなるという利点と不動産仲介の営業マンは直接物件に行って案内できるので効率が良いという2つの利点があります。
ちなみに、カギはドアのカギではなく、物件のドアに取り付けできるダイヤル錠がおすすめです。
あなたの物件がとても魅力的で募集条件も良い場合は、現地に設置する必要もありませんが、基本的には競合物件も多いので、面倒臭い物件は仲介する立場から言えば、案内候補から除外しがちになります。
あと数年も経てば、賃貸物件の玄関キーはスマホで制御ができる電子ロックが主流になると予測されていますが、当面はこのダイヤル錠で対応しましょう。
よく、PS(パイプスペース)の中に鍵を置いたりしている物件もありますが、営業マンが案内時に、お客の目の前でPSを開けて鍵を出し入れする姿は、防犯上好ましくありません。
3.原状回復しておく
1つの物件内に2つ以上の空室がある場合、1つだけでも原状回復は必ずやっておきましよう。家主さんや仲介業者などのプロは原状回復前でも改装後のイメージができますが、素人である入居者はイメージできません。
見た目の悪いブサイクな異性がいたとして「結婚してくれるなら、美人(男前)になるから」と言われても、イメージできないですよね?
世の中には、「人は見かけによらない」という言葉がありますが、逆を言えば、いかに見た目で判断している人が多いかということです。
物件も人も見た目はとても大事
何も整形(リノベ)しろという訳じゃなく清潔(キレイ)にしておくことがポイントと言えます。
4.電話に出る
賃貸管理を業者に任せずに自主管理している家主さんに案外と多いのが、空室確認の電話をかけても「電話に出ない」という問題があります。
実際には「出ない」というよりもタイミングが悪くて「出れない」状況なのかも知れませんが、これはせっかくの商機を逃していることになります。
不動産仲介の営業マンは、取扱い物件の空室状況を常に把握しておくために定期的に空室確認の電話をかけたりしますが、実際に目の前にお客がいて「今から案内したいけど大丈夫(空室)なのか?」という確認であることもあるからです。
自主管理をしている家主さんは携帯電話を必ず持ち歩き、電話には常に出れる状態にしておくべきだと言えます。それが出来ないなら、管理会社もしくは信頼できる仲介業者に専任で客付けをお願いした方が良いでしょう。
大阪のある家主さんは、名刺に携帯番号を記載し、24時間対応しますからいつでも遠慮なく電話下さいと言ってくれます。商機を逃さない為にも携帯電話とLINEは活用しましょう。
5.共用部を綺麗に
空室の内部の見た目も大事ですが、それと同じく共用部の見た目も大事です。特に集合ポストは、毎日にようにチラシが投函され、入居者がポストをマメにチェックせずにチラシ類があふれ出しているところもります。
入居者の中には、毎度のことで面倒臭くなり、室内に持ち帰らずにポストの上や下などに放置する人もいます。こんな人には「お前は、家を購入したら自宅のポストでも、同じように散らかすのか?」と問い詰めたいところですが時間のムダなので、不要チラシ専用の箱などを設置するようにしましょう。
もちろん、設置したからには、月に1度くらいは回収にいって古紙としてストックしておきましょう。地元のこども会に出せば喜んでもらえます。
また、エントランスや廊下なども蜘蛛の巣がないか、共用部の電球が切れていないか(夜の物件案内もある)も確かめておきましょう。
共用部の電球が切れていたり、チカチカと点滅していても、既存入居者が「電球が切れてる」と電話してくるのも昔の話です。
今は「誰かがやってくれるだろう」と思う人が多いように思うのは私だけでしょうか。
つまり、物件案内時には、お客も共用部に目が向くので管理や入居者の質が悪いと思われないように配慮しましょう。
6.募集看板は1つに
物件によっては、道路から見えるように外壁などにアパマン、賃貸住宅サービス、エイブル、ミニミニ、etcなど複数の募集看板を貼り付けているところがありますが、これは、見た目がよくありません。
募集看板を物件に貼るというのは、インターネットが普及する前、つまり、賃貸物件を探すお客が駅前の不動産業者に飛び込んだり、町中を自分の足で歩いて物件の看板を見て問合せをしたりしていた頃の手法です。
見た目の事を考えると、募集看板は貼り付けない方がよいので、どうしても貼る場合には、管理を任せる業者の1枚だけにしましょう。
自主管理の場合は、何も張らずに他の仲介業者へ配慮するという心がけも大切です。
7.初期費用を抑える
これは、敷金礼金など入居者の初期費用を抑えるということです。
高騰する仲介業者への広告料負担を考えると礼金を取りたいと思う気持ちも分かります。
しかし、広告料の負担を少なくする為に礼金を設定し空室が続けば、逆に、収入を生まず税金と維持費がかかるだけの物件という損失が続きます。
世間一般の広告料といえば、成果によらず支払う必要があるものですが、不動産仲介の広告料は「契約」が約束された後の支払いなので、これほど安心なものはありません。
また、新築物件ならまだしも、古い物件になってくると既に敷金礼金をゼロにしている物件も多数ありますので、物件に特別な魅力がないと場合、敷金礼金は客付けにとって、とても高いハードルとなりますので、地元の仲介業者さんからアドバイスを受けましょう。
敷金については、とらなくても入居者の負担で保証会社を利用してもらえば大丈夫です。
保証会社が潰れたらどうなる?と心配される人もいますが、私から見れば、敷金を1~2カ月もらって逆に保証会社に入らない方が、リスクが多いように感じます。
しかも、保証会社によっては、万が一の明け渡し訴訟や残置物処分の費用まで面倒を見てくれるところもあるので、保証内容は確認しておくようにしましょう。
8. DIY可能にする
DIY(Do it yourself)とは、直訳すると「自分でやる」ということ。今ではUR賃貸なども入居者によるDIYを解禁し、賃貸物件の内装を自分好みに楽しめるという「暮らし方」の提案を行っています。
当初は、入居者がそんな面倒臭いことをやるのか?という声が業界でも上がっていましたが、実際に取り組みはじめるとDIYをサポートする業者も普及していることから、DIYそのものがとても身近になり、魅力の1つとして捉えられています。
ちょっとした棚を自分で作って壁に取り付けてみたり、壁の一部を「黒板になる塗料」を縫って、家族間のメッセージボードにしたりと楽しみ方は入居者によって何通りにも広がるのがDIY賃貸。
ここで、多くの家主さんが心配することは、DIY賃貸を認めたら、退去した跡はどうなる?というもの。これについては、契約前に取り決めることによって、原状回復の対象にしたり、逆にセンスが良ければ、残置を認めたり、その費用の一部を負担してあげたりなど様々なケースを検討できます。
DIYを認めている賃貸物件が増えだしたので、国土交通省もガイドラインを発表していますから、ぜひ、参考にして下さい。
これからの賃貸は、いかに入居者の暮らしに価値を与えるかがポイントになってくるでしょう。
以上が時間とお金を掛けずにできる8つの空室対策となります。
いかがでしたでしょうか?
まずは、1つでも実践してみることで、あなたの空室が1つでも埋まることを願っています。