大阪市内にある貸店舗、貸事務所の空室対策について、お話しします。
今では、大阪市内でも古い事務所ビルなどで多くの空室が出ています。
店舗や事務所などの事業用物件の難しいところは、居住用と違って家賃を下げたらテナントがつく、、、という単純なものではありません。
事務所を事務所として貸すならそれでいいのですが、他の用途で貸したい場合に問題が出てきます。
それは、あなたも聞いたことがある「検査済証」が古い建物だと無い(完了検査を受けていない)ことが多いからなんですね。
建築時は、将来のことまで深く考えずに、違法建築じゃなくても単に検査費用が勿体ないから受けなかったとか、収益率を高めるために駐車場を貸室に変更して容積率オーバーで受けれなかったとか、いろいろな要因があるワケです。
ちなみに、この検査済証ですが、阪神淡路大震災が発生してから違反建築への意識が急に高まり、行政では平成10年ごろから完了検査を厳しく義務づけ、しかも、ほとんどの金融機関が融資の際に検査済証の提出を求めるようになった為、それ以降の建物は検査済を持っていることになります。
建築基準法では、現在の建物用途を違う用途として100㎡(法改正により2019年6月27日以降は200㎡)を超えて転用する場合には、用途変更手続きが必要となります。例えば、現在、事務所ビルとして使用している建物のうち、110㎡を保育所などで使う場合などです。
その用途変更をする時に必要となるのが「検査済証」ということになります。
なぜ、検査済証が必要なのかというと、建築時期によって旧耐震なのか新耐震なのかは、建物登記簿謄本で想定できるにしても、実際に設計図どおりに建って(基準を満たして)いるのか?ということを証明する為に必要なのです。
検査済証は再取得できない
じゃあ、この検査済ってのを今から再取得できるのか?という質問をいただくこともありますが、検査済証は再取得はできません。
検査済証は再取得できないので、検査済証にかわる国交省のガイドラインというのがあります。
ところが、この国交省のガイドラインのとおりに、建築時にきちんと施工されているのかということを基礎の中の鉄筋の数を調べたり、鉄骨造なら接合部のボルトが閉まっているか全て確認したり、その他もろもろが現実的な作業じゃなく、ちょっとした事務所ビルであれば検査料で300万~500万円ほどかかるようで、とても採算が合うように思えません。
もしあなたが、古い事務所ビルや店舗物件を所有しているなら、周りの検査済がある競合物件は、比較的簡単に用途変更ができるので将来の空室対策にも柔軟に対応してくる、つまり、テナントの取り合いでは負けてしまう可能性が高いということを知っておく必要があります。
では、どうするか?
貸室の床面積を100㎡(2019年6月27日以降は200㎡)以下で用途変更が不要な貸し方をすれば良いのです。
優良テナントを受け入れる
今のうちから優良テナントを受け入れる対策をしておく必要があるということです。
統計データによれば、起業して5年以内に約9割の企業が姿を消しています。事務所ビルは、そういった実情からテナントの入れ替わりが5年以内にあるものです。
なので、できれば保険や補助金支給のある安定した事業、つまり医療、介護、障がい者支援、保育などが優先して誘致するべきテナント候補と言えます。
医院は、医師が1カ所あたり1人以上必要ということから、ドクター不足の今では、太いパイプとそれなりのロケーションが無い限り誘致は難しいので、狙うべきは、老人デイサービス、障がい児の放課後デイサービス、障がい者の就労支援施設、保育所がおすすめです。
検査済証が無い場合
先にもお話ししましたが検査済証が無い建物の場合は、空き室が仮に130㎡あるとすれば、使用床面積を100㎡以下、残りは共用部として申請してもらうことです。そうすれば、用途変更しなくても良いので、検査済証が無くても問題ありません。
但し、気を付けるべきことがあります。それは、消防法です。
詳細については、地元の消防署(予防課)へ確認していただければと思いますが、ここではザックリと、ビルオーナーとして最低限知っておくべきことだけ取り上げてみます。
上記の用途(高齢者デイサービス、障がい者支援、保育所)は、消防法でいうところの「(6)項ハ」と呼ばれるものに該当し、これらの施設があなたの建物に入ることによって、
- 建物延床面積150㎡(3階建以上なら50㎡)以上なら各要所に消火器の設置
- 建物延床面積300㎡以上なら自動火災報知機の設置
- 5階建以上なら屋内消火栓の設置(防火区画あれば可)(大阪市条例)
- 2階で使用するなら避難器具の設置(1階などの避難階なら不要)
- 3年に1度の消防設備点検が毎年必要になる
老人ホームやグループホームなど「泊り」があるものはスプリンクラーの設置が必要になるなど更に厳しくなります。
あと、既に自動火災報知機や誘導灯などが設置されていても、10年以上前のものであれば、最新のLEDタイプだとか、警報を止めても数分後に鳴る目覚まし時計と同じスヌーズ機能が付いたものなどに変更する必要があります。
二方向避難は建築基準法によるもの
また、消防法ではなく建築基準法には、2方向避難規定というのがあり、保育所が2階以上で営業するには階段が空き室の一番遠い部分から30m以内に2カ所必要となります。(但し、2階部分であれば、保育所として使用する面積の8分の1のベランダが部屋に面してあれば、階段は1つでも可)
今のところ、この候補の中では保育所の施設基準が一番厳しいのですが、誘致に成功すれば、補助金利用の施設なら国の指定条件で10年以上の契約を締結してもらえるので、1階部分に空きが出たときには優先して誘致をしたいところです。
ちなみに、障がい児の「放課後デイサービス」であれば、2階部分でも窓から避難はしご(折りたたみタイプ)を付けて出入りできる窓の大きさがあれば、階段が1つしかなくても大丈夫です。
大原則として、障碍者就労支援(A・B)もそうですが、児童福祉施設と呼ばれる用途の場合、6階以上にその部分がある場合又は5階以下で行う場合でもそのフロア全体の床面積が100㎡(準耐火建築や耐火建築物なら200㎡)を超えていれば、階段が2つ無いと認可されません。(建築基準法による規制)
福祉系のテナント誘致をおススメすると、事務所ビルのオーナーさんからは「他のテナントに迷惑がかかりそうで・・・」と心配の声も聞くことがありますが、キチンと防音に配慮して改装してもらえば気になるレベルではありませんし、古いビルでは対応できるもの(家主としての競合)が少ないことから、積極的に受け入れを検討するべきかも知れませんね。
まとめると、
1階、2階部分で空きが出れば、素早く上記のテナント募集を行うということです。
何のために収益ビルを持っているのかという事を考えてみれば、ブティックや美容室など「見た目がカッコいい系」のテナントを入れて回転させるよりも、より安定した業種を誘致する方がいいという事になります。
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