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相続対策塾14 土地活用で老人ホームを建てる時の注意点

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ここでは、不動産オーナーが相続税対策の為に行う土地の有効活用について、ここ数年前から一気に過熱しだした高齢者施設(有料老人ホーム・サービス付高齢者向け住宅)を建てて一括貸しする場合の注意点についてお話しします。

高齢者施設(住宅)を建てて土地活用する時の注意点とは?

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まず、高齢者施設(住宅)とは何でしょうか?

高齢者施設は、様々なタイプが存在していて分かりにくいというのも事実です。高齢者施設の詳しい解説は他のサイトに譲るとして、ここでは不動産投資・資産運用としても人気のある「有料老人ホーム」と「サービス付高齢者向け住宅」のことを指して、「土地活用の視点」で解説を行います。

有料老人ホームとサービス付高齢者向け住宅の違い

この二つの違いを簡単に言えば、元になる法律が違います。有料老人ホームは老人福祉法(厚生労働省管轄)で、サービス付高齢者向け住宅は高齢者住まい法(国土交通省管轄)となります。次に、不動産オーナーが、これらの高齢者施設を建てて介護事業者へ一括貸しする土地活用(資産運用)について知っておくべきポイントは次のようになります。

有料老人ホームとは?

有料老人ホームも大きく分けると「介護付き有料老人ホーム」(許可制)の特定施設と呼ばれるタイプと「住宅型有料老人ホーム」(届出制)と呼ばれるものがあり、どちらも施設の中に高齢者が入居し、介護を受けることに変わりはありません。簡単に言えば、前者は高齢者(利用者)が一定の自己負担のもとに介護サービスをほぼ制限なく受けれるのに対し、後者は要介護認定の度合いによって使える介護保険の額に上限があり、その上限を超えたサービスについては全額自己負担になるというものです。

つまり、言い換えれば前者の介護保険オーバー分は税金で補う必要がある為、今では、需要の高い都心の一部でしか許可を取ることができません。なので、不動産オーナーが投資用(土地活用)として建てるものは「住宅型有料老人ホーム」の方が多いということになります。

ポイント1 居室の面積(壁面)は13㎡以上でOK

高齢者が入居する居室の面積は「壁心」ではなく「壁の内々」の有効面積で13㎡以上あれば良く、大阪市内に建てる場合であればその面積の中に「トイレ」「収納」「手洗い」を含めれますが、大阪市以外で建てる場合には「トイレ」「収納」「手洗い」を除いた有効面積で13㎡を確保する必要があります。つまり、大阪市以外で建てる場合は、居室の面積が最低でも16㎡超になるので、後述のサービ付き高齢者住宅の最低面積とあまり大差が出ないこと(有料老人ホームとサービス付高齢者向け住宅の建築費に大差が無いこと)から、市外では補助金のあるサービス付高齢者向け住宅を建てる不動産オーナーが多い要因となっています。もし、あなたが大阪以外で建築を考える場合は、この面積基準について各市区町村(又は都道府県庁)の高齢施設課に問合せしてみて下さい。

ポイント2 3階建ては原則、木造で建てれない

各居室に「台所」を設けない有料老人ホームは建築の用途が「老人ホーム」となるので、建築基準法上では2階建てまでは木造で建てれますが、3階建て以上なら重量鉄骨造や鉄筋コンクリート(RC)造などの耐火建築物にする必要があり、将来の出口戦略(用途変更)を考えて、改装のやり易い重量鉄骨造で建てることが多いと言われています。鉄筋コンクリート(RC)造は、壁をぶち抜いての用途変更がやりづらく、固定資産税などのランニングも高いことから、あまりおすすめではありません。鉄筋コンクリート(RC)造で喜ぶのは国と金融機関だけで、入居者もメリットは感じないでしょう。

サービス付高齢者向け住宅とは?

簡単に言えば、各居室の面積を最低18㎡以上確保し、共用の食堂や浴室がある高齢者向けの「賃貸アパート」「賃貸マンション」のことです。なので「食事」は、定義上では老人ホームのように建物の中で提供されているのではなく、入居者が出前をとったり、ヘルパーに毎回作りに来てもらっているという建前になっています。

ポイント1 建築費の1割が補助金として貰える

このサービス付高齢者向け住宅を建てる際には建設補助金として、建築費の1割もしくは一戸あたり100万(又は120万)のどちらか低い方が出ますので、不動産投資で考えた場合に約10%の補助金はオーナーメリットとして大きいと言えます。なぜこの補助金が出るのかといえば、全国で空き家が820万戸あると言われる中でも、高齢者が安心して暮らせる(介護を受けれる)建物は足りていないということの表れです。

ポイント2 3階建てまでなら木造で建てれる

各居室に「台所」を設けておらず、共用の台所や食堂を使うタイプのサービス付高齢者向け住宅の建築用途は「寄宿舎」となるので、3階建てまでなら準耐火構造で建築可能な為、木造でも建てることができます。つまり、建築コストが重量鉄骨造にくらべて坪当たり約10万円ほど安くつき、更に補助金も1割ほど出るので不動産投資効率が良くなります。今の時代の木造建築は、べた基礎や外壁の通気などで骨組みの耐久性も良くなり、耐震性も厳しく追及されて重量鉄骨造との建築的な性能の差があまり無いことから、木造で建てる不動産投資家も増えています。

土地活用する時の注意点は?

これらの高齢者施設が増える理由は、人手が足りないと言われている日本で、あちこちバラバラな場所へ訪問して介護するよりも、ある程度まとまった単位の場所(老人ホームなど)で介護する方が、何とか効率の良さで回せるということと利用者自身も助かるからということは、誰もが理解できるところです。

さて、次に土地の有効活用をする際に注意するべき事についてお話しします。基本的には、土地活用の専門家達の意見を参考にするべきですが、今はインターネットが普及し、誰もが簡単に色々な情報へアクセスできるようになりましたので、あなた自身でもある程度のリサーチは必ず行うようにしましょう。

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注意点1 あなた自身でも市場調査してみる

幸いと言えるのか分かりませんが、「有料老人ホーム」や「サービス付高齢者向け住宅」は介護保険が絡んでいるため、国があらゆるデータを公表しています。例えば、要介護認定者があなたの周りに何人いるのかについて、市区町村は毎月集計した結果を役所のホームページなどで公表しています。もし、市区町村の役所ページに掲載がなければ、総務省の統計局のホームページにアクセスすれば、要介護認定者の数を把握することができます。

また、どんな高齢者施設がどこに建っているのかも各市区町村(サービス付高齢者向け住宅は都道府県の場合もある)で公表されており、何と建物の規模(何室あるのか)や料金体系(いくらの部屋代をとっているか)や運営業者まで分かるようになっています。

注意点2 出口戦略を考えておく

少子高齢化が進み、これから高齢者の割合が増えてくことは何度も報道されているので、理解している人も多いかも知れません。不動産投資もビジネスのひとつですから、「同じ状態でずっと儲け続ける」ことはいずれにしても不可能です。

つまり、需要がピークを超えて減少を始めたときに、どう転用できるのか、最悪、売り抜けるならいつ頃がベストなのかを考えておく必要があります。もし、あなたが現在、土地活用の提案を受けているなら、プロである担当者の方に意見を求めてみましょう。

注意点3 大きな規模にしないこと

大きな規模だとタイタニックと同じで、すぐに方向転換が出来ません。大手の介護事業者が一括して借り上げてくれる場合には、ある程度の保証も提示されますが、周りを見渡しても分かるように大手であろうが、崩れる時は一瞬です。債務超過となった企業が、撤退する時は違約金を◯千万円支払いますからという契約、履行できると思いますか?

老人ホームなどを運営する介護事業者としては、老人ホーム1カ所あたり50室程度の規模にする方が運営効率が良いというところもあります。しかし、介護事業は本来、地場産業として地域密着でこじんまりとやっているのが、一番安定するものだと言われており、現に、小さな介護事業者さん達がたくさん地元で頑張っています。そんな地元の介護事業者さん達から意見を聞いていると「やりたくても、介護するヘルパーが少ない」ということや「ヘルパーとしても、1カ所で何十人も相手できない」ということから、著者のアドバイスとしては建物規模を20~30室程度に抑えた方が介護事業者側も施設運営をしやすく、且つ将来の転用もやり易いと言えます。

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