住宅ローン返済ができない時

競売とは – 不動産競売の流れ<後編>

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さて、前回では、住宅ローンが払えない状態になって、競売を申し立てられ、あなたの自宅に執行官がやってくるところまでの流れをお話ししましたね。ここでは、その後、明け渡しまでどのような流れになるのかをお話しします。

- 競売とは – 不動産競売の流れ<前編>はこちら -

競売とは – 不動産競売になるとどうなる?

不動産競売の流れ

7・期間入札の公告

この期間入札の公告というのは、一般の不動産売買と違って、購入したくても事前に建物の内覧や所有者との話ができないかわりに、入札する人の為に入札資料を裁判所などの閲覧室で一般公開することです。この入札資料は、「現況調査報告書」・「評価書」・「物件明細書」という3つの資料のことで、業界ではこれらをまとめて「3点セット」と呼んでいます。

昔は、この資料を閲覧するには、裁判所まで出向く必要がありましたが、今では、より多くの人に入札してもらいやすくする為に、裁判所が運営する専用サイトから全国の入札案件についてPDF形式の資料をダウンロードできるようになっています。この資料には、建物内部の写真や執行官が立ち入り調査して気づいた事や、占有者の有無、所有者との物件に関する会話などが載っています。

不動産競売物件情報サイト(Broadcast Infomation of Try-set system)

業界では、略して「BIT」(ビット)と言ったりしています。

ただし、インターネッドから取得できる3点セットには、個人情報の観点から、所有者や占有者などの「氏名」は黒塗りされており、見ることはできません。(裁判所に設置される資料では、普通に公開されています)

8・期間入札の開始

期間入札は1週間だけという結構、タイトなスケジュールで行われます。この期間に入札者は評価書に記載された「売却基準価額」を参考にして、執行官室へ入札の書類を提出します。その際は、売却基準価額の2割を保証金として裁判所が指定した口座へ一旦振込をして、その振込伝票を添付する必要があります。この保証金は入札後、落札できなければ、通常は2週間程度で入札者の口座へ返金されます。

ちなみに、基本的には、売却基準価額の8割に設定されている「買受可能価額」以上の金額であれば、入札できることになっています。この買受可能価額は、2005年の改正民事執行法施行までは「最低売却価額」と呼ばれていました。しかし、昔と比べて今では、入札する一般人が増えた(BITなどのネット閲覧や占有者が居座れなくなった)為に、買受可能価額で落札できることは稀です。

所有者が債権者の同意のもとで行う任意売却をする場合は、この入札開始の前日までに、買主を見つけて差押の抹消、所有権移転、競売の取り下げを行う必要があります。

9・開札期日

開札期日になると、入札で最高価額を提示した人が最高価額買受申出人となり、一応は、落札する権利を持ちます。この段階では、まだ落札の確定ではありません。

仮に、この開札期日で、蓋をあけてみて誰も入札していなかった場合は、「特別売却」といって、一般的には開札期日の翌日から「買受可能価額」以上であれば、早い者勝ちで落札できるようになります。

競売物件の取得を狙う人達の中には、この特別売却だけをチェックしている者もいるようです。

所有者からすれば、入札者がいないとその分だけ長く住み続けることができます。

10・売却許可決定期日~確定

入札で最高価額を提示した人は、ここで裁判所による「この人は、落札者としてふさわしいか」という審査をされます。もし、欠格事由(競売を申し立てられた本人、競売妨害をした人など)がないかを調べて、問題がなければ、売却許可決定が下されます。で、この決定された日から、それに文句のある利害関係人がいれば、早く申し出てねという「執行抗告」の期間が1週間あります。この期間中にだれも不服を申し出なければ、買受人(落札者)としてやっと「確定」します。

11・代金納付期限・所有権移転

買受人に対して、裁判所が◯日までに代金を支払ってくださいという「代金納付期限通知書」というのが、特別送達にて届きます。納付期限は、この特別送達から約1か月後が多いようです。

この代金納付をすると所有権が旧所有者から買受人に移ります。この所有権移転登記や抵当権などの抹消登記について、通常は裁判所の書記官が法務局へ嘱託していますが、今では、事前に書記官へ申し出ることによって、買受人の指定する司法書士などに登記申請書類を委託してもらうことができるようになりました。これによって、所有権移転と同時に新たな抵当権設定が可能になることから、銀行融資を使っての残代金支払いがしやすくなったので、これも入札者が増えた理由のひとつでもありますね。

但し、競売は落札の確率が不透明なことから、多くの銀行は「うちは、競売融資はやってないんですよ~」といいますが、本当の理由は、担当者が成るか成らないか分からない案件の審査をするのが面倒臭いだけ。

12・建物明け渡し

旧所有者のあなたや賃借人などが、まだ物件に住んでいると、代金納付と所有権移転を済ませた買受人が訪問や手紙で明け渡しを求めてきます。法律上、買受人は、立ち退き料などを支払う義務は無いので、引越しするための立ち退き料などがもらえるかどうかは、買受人次第です。

昔は、旧所有者や賃借人などの「占有者」が居座ることで買受人が不利益になることから、数十万円以上の立ち退き料が支払われていたのも事実です。

しかし、今では、立ち退きの強制執行に関する手続きが安価でスピーディにできるようになったので、一円たりとも支払わない買受人もいます。

買受人が裁判所へ強制執行である「不動産引渡命令」と「強制執行」の申し立てを行うと下記のようになります。

A・あなたやあなたの家族が無償で住んでいる場合

残念ながら、買受人に対抗できません。買受人が申し立てをすれば、約2週間ほどで執行官が立会人、強制執行業者達と一緒に「強制執行の催告」をしに、物件にやってきます。もし、その時に不在であれば鍵を破壊されて、強制的に中の状況を確認され、その場で実際に荷物を放り出す期日を決めます。強制執行される日は、一般的に催告しにきた日から約1か月以内が多いようです。

この強制執行で放り出された荷物は、特定の倉庫に保管され、約1か月以内に所有者が持ち出さない場合は、売却処分されるようになっています。この時の売却・処分費は実務上、所有者のあなたではなく、買受人が負担します。(買受人によっては、後から請求してくる人もいるかも知れません)

B・賃借人が住んでいる場合

その賃貸契約が抵当権設定日以前に締結されたものであれば、賃借人は買受人に対抗できて、買受人は家主の地位を継承することになります。もちろん正当事由がない限り、賃借人を追い出すことはできません。しかし、もともと賃貸契約が存在する物件を購入したのでない限り、通常は、抵当権設定をした日以降に賃貸するものです。

そのように、抵当権設定日以降に締結した賃貸借契約の場合は、買受人を家主として従来の家賃を支払えば、賃借人に6カ月間の立ち退き猶予が認められています。この6カ月を過ぎるまでに自主的に退去しなければ、強制執行の対象になります。

又、ひと昔前は、「短期賃借権」という契約期間が3年(土地の場合は5年)以内であれば、その契約期間内に競売で落札されても契約終了までは住み続けれるという、賃借人の保護権利がありました。しかし、これを悪用して居座り、立ち退き料を要求する「占有屋」が社会問題となったことから、この占有者を廃除する為に法改正が行われ、今では、この短期賃借権は廃止されています。

強制執行の流れそのものは、前項と同じです。

 

競売とは-不動産競売の流れ<前編>

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