住宅ローン返済ができない時

競売とは-不動産競売の流れ<前編>

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住宅ローンが払えない状態で、なんの対策もせずに半年ほどすれば、債権者(保証会社や債権回収会社など)によって、物件の所有者にとっては最悪のケースと言える「競売」の申し立てが裁判所に対して行われます。ここでは、競売にかけられた場合、どんな流れになるのかを見ていきましょう。

競売とは – 不動産競売になるとどうなる?

不動産競売の流れ

(債権者や物件特性、地域によって進捗スピードはやや異なります)

① 住宅ローンが払えない状態(滞納)が続くと・・・

    ▼ (約3~6カ月)

② 期限の利益を喪失したので全額返済してね通知が銀行から届く

    ▼ (約1か月)

③ 住宅ローンの保証会社があなたの代わりに銀行へ代位弁済

    ▼ (約1~2か月)

④ 保証会社が物件差押(裁判所による不動産担保競売開始決定)

    ▼ (約1~2週間)

⑤ 配当要求終期の公告

    ▼ (約1~2カ月)

⑥ 執行官による現地立ち入り調査

    ▼ (約1~2ヶ月)

⑦ 期間入札の公告

    ▼ (約2週間)

⑧ 期間入札の開始

    ▼ (約1週間)

⑨ 開札期日

    ▼ (約1週間)

⑩ 売却許可決定期日~確定

    ▼ (約1ヶ月)

⑪ 代金納付期限・所有権移転

    ▼

⑫ 建物明け渡し

1・住宅ローンが払えない状態(滞納)が続くと・・・

住宅ローンを滞納すると、まず届くのが銀行からの督促状です。この督促状に対して、銀行へ何の連絡もせずに無視をしていると、銀行の回収担当者が家や会社に電話かけてきたり、訪問してくることがあります。

2・期限の利益を喪失したので全額返済してね通知が銀行から届く

「期限の利益」とは、あなたが住宅ローンの返済期日までに決められた金額を返済することで、残額については期限が来るまで返済しなくてもいい取り決めのことです。つまり、本来は借りたお金は相手から返還を求められたらすぐに返さないとダメですが、取り決めた(月々の)期限がくるまでは返さなくていいというのが、あなたの利益ということになります。

全ての住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約書)には、住宅ローンが払えない(滞納する)ようになったら、期限の利益の喪失となるという事が掛れています。

メガバンクや地銀など一般的には、初回滞納から3ヶ月後くらいに、頼まなくてもキッチリと「あなたは、期限の利益を喪失しました」的な通知を送ってきます。これがフラット35などの住宅金融支援機構(旧公庫)の場合は、初回の滞納から6カ月以上で期限の利益の喪失となりますので、良心的ですね。ちなみに住宅金融支援機構は、競売を回避する為の任意売却にも協力的です。

3・住宅ローンの保証会社があなたの代わりに銀行へ代位弁済

銀行からは「期限の利益を失ったんだから、全額を一括で返してね。」ということを通知されますが、一般庶民にはまず不可能なことです。そこで、あなたが頼まなくても住宅ローンを借りた時にセット契約させられていた保証会社が、あなたの代わりに銀行へ残額を代位弁済(立て替え払い)をします。多くの人は保証会社なんて契約した覚えないぞ~となるかも知れませんね。でも、登記事項証明書(権利書)を見れば、抵当権を設定しているのは銀行じゃなくて保証会社になっているはずです。

保証会社はあなたの代位弁済をしたことで、住宅ローンの債権を銀行から引き受けて「債権者」となるわけです。尚、住宅金融支援機構の場合は、機構は自ら回収行為をはせずにサービサー(債権回収会社)へ、あなたとやりとりするようにと債権回収の委託をします。

4・保証会社が物件差押(裁判所による不動産担保競売開始決定)

保証会社は、銀行へ代位弁済したお金を回収する為に、抵当権という担保権を設定して(付けて)いたあなたの自宅等を競売というオークションにかける為、裁判所へ不動産の差押を申し立てます。不動産が差し押さえられると法律上、あなたの意志で勝手に処分することができなくなります。競売が終わるまで、あなたが勝手に売却しないように押さえられてしまうワケです。

競売の手続きが始まってからでも、競売を回避する手段のひとつとして、債権者の同意のもとに行う任意売却がありますが、債権者が裁判所へ支払った予納金(競売の申し立て費用で、60万~100万程度)を上乗せ請求されますし、債権者によっては競売の申し立てをした後では、任意売却に協力してくれないところもあります。競売であれ、どうせ家を手放す(任意売却をする)なら、競売の手続きを申し立てられる前が得策ということです。

5・配当要求終期の公告

配当要求終期の公告とは、競売開始決定された物件(不動産)と所有者(債務者)名を裁判所にて公告し、競売を申し立てた担保権者以外にも債務者へ貸付などの債権がある者は、この機会に裁判所へ申し出てね、という裁判所内で掲示される告知のことです。

この配当要求終期の公告を見て、債権者だけじゃなく、不動産業者、貸金業者、何のコンサルティングをするのか不明なコンサルタントや新興宗教の勧誘係など様々なお方が、早ければ公告された初日から自宅へ訪ねてきます。この段階になると、高確率でご近所さんに異変を気づかれてしまいます。

1つ言えるのは、色々な人からアプローチを受けることになりますが、熱心に訪問してきた業者は怪しいのか、ダイレクトメールのみで紳士っぽく感じる業者がいいのかは、直接、電話なり面談してみないと何とも判断できないものです。

6・執行官による現地立ち入り調査

裁判所の配当要求終期の公告から約1か月ほど経つと、裁判所から「◯月◯日に、執行官があなたの家の中とか、実態を調査しに行くので、都合が悪いなら連絡くださいね」的な手紙が届きます。仕事の都合などで、立ち会えない場合はできるかぎり、連絡して立ち会うようにしましょう。無視したり、居留守したりしても天下の宝刀である国家権力を使って、玄関の鍵は見事に粉砕され、強制的に中の記録写真を撮っていかれてしまうので、鍵がこわされてしまうと困るのは、入居している人です。

これによって、競売の入札をする人が参考にする「現況調査報告書」・「評価書」・「物件明細書」といういわゆ競売三点セットと呼ばれる書類が作られます。

 

不動産競売の流れ<後編>

競売に近づく怪しい業者とは?

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