どうも、不動産コンサルタントの坂口貴長隆です。
今回の物上げテーマは、任意売却の物件じゃなくて「富裕層」が持つ物件、つまり、地主(賃貸オーナー)をターゲットにアプローチする際に、コンサルタント(あるいは営業マン)として持っておくべき見込み客の判断基準について、先日、私に起きた事例に基づいてお話しします。
空室対策の提案が売却の専属専任媒介へ
つい先日の6月23日(金)の夜、シャワーを浴びている最中に事務所の電話が鳴った。(私の事務所は自宅の一角にある為)
プルルルルッ・・・
私「誰や、人が気持ちよくがシャワーしてる時に電話かけてくるのは?」
私は、もしかすると今日の配当案件の債務者からの電話かも知れないと思いながらも、洗髪から髭剃り、身体の垢すりまでをひと通りゆっくりと済ませた。タオルで身体を拭きながらも時計に目をやると21時になるところだった。
私は、パンツ一枚で受話器を取り、着信履歴を見てみると大阪の06から始まる固定電話からの番号だったので、折り返す前にまずネットでその電話番号をググってみた(発信元を調べるのは基本)。
結果は、特に何も出てこないので、債務者なら今どき、固定電話を付けてるところなんて少ないし「何や、債務者とちゃうのかい」と愚痴をこぼしながらも電話を折り返しかけてみた。
プルルルルッ・・・
電話をかけると1コールで繋がったので、ちょっと恐かった。
私「あのー、夜分にすみません。私はリアルターの坂口と申しますが、先ほどお電話いただいたみたいで」
電話口の男性は年配のような声でX(仮名)と名乗った。
X「おたくから、もらった手紙を見て電話したんやが、どんなモンかと思うてな」
私「あのー、すみません。たくさん出してるもんですから、どんな内容の手紙でしょうか?」
X「3月頃に手紙もらっててな。部屋が詰まらんねん。せやから1回、話を聞きたくてな」
私「あーっ!
Xさん、どうもお世話になりますー」(だ、誰だ?どこの物件や?全然、思い出せん)
結局、この反響は今年3月に、地元の賃貸アパート・賃貸マンションのオーナー向けに送ったDM(物上げ用セールスレター作成マニュアルをもとに作成したもの)で、3カ月のタイムラグで電話がかかってきたものでした。
私「Xさん。では、物件を一度、見せていただきたいので、いつがご都合よろしいですか?」
X「せやな。明日、来てくれるか?物件にいてるから」
明日か・・・、ちょっと急やな。スケジュールは調整できんことはない。でも、空いてると言えば「暇な奴」と思われるのはブランディングとしては良くないし・・・と思いつつも
私「わかりました。では、明日の土曜日14時に現地へ行かせて頂きます」
もう、この時間では、登記情報は見れないし、登記簿図書館は利用登録してないので、土曜日も登記情報が見れない。とりあえず、住宅地図と路線価図とレインズのリストをプリントアウトして訪問の準備をした。
6月24日(土)14:00
物件が私の事務所から近いという事と周辺に駐車場が無いという事で、私は資料を片手に電動自転車に乗ってその物件に行った。物件につくと優しそうな感じのXが笑顔で立っていた。
私「あー、どうも。Xさんですか?坂口と申します。自転車、前に停めててもいいですか?ここは、あまり車が通らないでしょ?」
X「そこは、結構、通るねん。停めてたらうるさいから、敷地の中に入れて」
どうみても、車がよく通るような道には見えん。パッと見た感じ、物件の駐輪場も無いし、近所がうるさいんやなと思いつつ、私はXに案内されるままに空き部屋の1つに入った。物件はバブル期に流行ったワンルームでトイレと浴室が一緒で便利な3点ユニット。約7帖ほどの洋室は天井が高く、見上げるとロフトが3帖ほど付いている。どこかで見た事のあるような・・・、そう、レオパレスの間取りにそっくりだった。
私「もう、空いてからどれくらい経つんですか?」
X「今年の初めやから、もう半年になるなぁ」
私「賃貸屋さんは、どこに声を掛けてるんですか?」
X「駅前のアパマンと、もうひとつ、何とかっちゅーとこや」
私「そこなら、ちゃんとお願いしていれば、付けてくれると思うんですけどねぇ。きちんと募集して決まらないなら、相場よりも高いか、広告料が安いかですね。3点ユニットもバブリーな時は流行ったんですけどね。今は、外国人か、日本人ならそれなりに安くしないと・・・。部屋貸しも商売ですから部屋という商品は他との競走になりますから。まずは市場調査をしてみる必要がありますね」
X「ここは、駅から近いからなぁ。なんとか家賃は下げたくないんやわ」
私「そうですよね。でも、何か考えないと、このリスト(レインズ)を見るだけでもこの周辺で98件もの募集中の物件があるので、競走は激しいと思います。駅自体もあんまり人気のある駅では無いので、反響そのものが少ないと思いますね」
X「実は、売却も考えてんねん。昨年末に近くの住友不動産販売に行って見てもろうたことがあるねん」
この空き部屋の中で約5分ほどの物件ヒアリングが済むと後はXの武勇伝が約2時間。私は、専属専任媒介契約の話をして、翌週の週末に再訪する約束をして物件を離れた。
私は事務所へ帰るとすぐに礼状を手書きで作成し、封筒の宛名を青ペンで書いて82円切手を貼り付けてから郵便ポストへ投函した。
6月26日(月)21時17分
夕食後のコーヒーを飲みながら読書を楽しんでいると、事務所の電話が鳴った。
X「Xですけど、次の日曜日ってゆーてたけど明日に来てくれへんか?」
恐らく、礼状を見てくれたのでしょう。そんな感じのタイミングでした。
私「明日、午前中は予定が入ってるので、午後なら何とか調整できますけど」
X「ほな、13:30に物件に来てくれるか」
私「わかりました。では、明日の13:30にお伺いします」
私は、来週の日曜って言ってたから登記情報もまだ取ってないのに頼むでホンマにっ!と独り言をいいながらも専属専任媒介契約書を夜のうちに準備し、翌日に登記情報を調べてから面積と築年月日を入れるだけで完成となるようにして、その日は寝ることにした。
6月27日(火)9時05分
専属専任媒介契約書を仕上げている最中にXから電話が掛ってきた。
X「今日、来てくれってゆーてたけど、今からそっちへ行くわ」
私「いや、Xさん。来てもらえるのはありがたいんですが、今日、午前中はダメなんです」
X「何や、あかんのか。じゃあ、昼過ぎに行くわ」
私「わかりました。では、お待ちしてます」
電話を切ると急いで専属専任媒介契約書を仕上げて、午前中の用事を済ませる為に私は事務所を出た。小一時間ほどかけて用事を済ませ、事務所へ戻ってきた時、ちょうどXから電話がかかってきた。
X「今日、行くってゆーてたけど、家のことで都合悪くなって行かれへんねん。またということで」
私「あぁ、そうなんですね。別に構いませんよ。またお電話お待ちしてます」
あなたなら、この後どうする?
この場合、今後の選択肢としては大きく分けると3つあります。
1・電話がかかってくるまで放っておく
2・電話がかかってきたら丁重にお断りする
3・電話がかかって来なければ電話をかける
目の前にぶら下がっている収益物件売却の専属専任媒介契約は是非ともほしいところですが、私なら2番を選択します。人間であれば、どうしても都合が悪くなって予定を変更してほしいことは1度くらいあります。ところが、Xの場合は
①初回の約束である「日曜日の媒介契約」を前倒して火曜日へ変更した
②火曜日の当日の朝になって訪問予定を来店予定(事務所へ来る)に変更した
③来店予定の直前になってキャンセルの電話があった
というように言ってる事、やってることがいい加減です。
もし、Xから電話が再度かかってきて、めでたく媒介契約を獲れたとしても、こういう人を相手にすると他の「時間をかけてフォローするべき大切なお客様」への時間が取れなくなり、結果的に良い業績が出せなくなってしまいます。
ビジネスにおいて見込み客を絞り込む時には、重要なポイントがあります。
「何をもっているか」よりも「どんな人か」で選ぶ
今回の事例が参考になったと思っていただければ、ぜひSNSなどでいいね!やシェアしていただけると嬉しいです。
さあ、明日もお互いに媒介獲得にむけて頑張りましょう。(^^)
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