さて、今回は物上げの考え方をちょっと変えてみましょう。以下は大阪市内でのお話ですが・・・
任意売却の物上げは、配当要求終期の公告前にアプローチ
裁判所での配当要求の公示を見て、任意売却の物上げ(債務者から専属媒介を取る行為)をしている同志の方々は、お気づきかも知れませんが、大阪地方裁判所管轄の配当要求の公示数は一昨年で、約3,000件超ありましたが、昨年は約2,300件ほどしか出ませんでした。
そして、今年に入ってから早2ヶ月が過ぎようとしていますが、大阪府下でも不動産のニーズが多い『大阪市内』の配当要求の公示数が激減しています。
この1~2年で都心部での配当要求の公示数が激減している大きな理由は私が思うに、
①弁護士が(司法試験制度の緩和により)増えすぎている為、弁護士も仕事ほしさにお金の無い債務者でも無料相談のキャッチコピー(結局、弁護士費用は取られる)で引き付けて、個人再生(住宅ローン特則)など勧めている
②任意売却業者が裁判所での配当要求の公示が出る前に債務者へアプローチを掛けている
の二つでしょう。
大阪では、ある任意売却業者さんはラジオCMをバンバン流したり、中堅の不動産業者さんもポスティングチラシに任意売却のキャッチを書き込んだりしています。
私は今でも他の業務と並行しながら任意売却の物上げもやっていますが、やはり配当要求終期の公告になる前(金融機関又は市税事務所などに差押された時)の段階で債務者へアプローチを掛けるのが一番効率がいいように思います。
実際、この前段階である差押情報では、まだ精神的にも余裕があったり、差押されてもすぐに解除している人も多いのですが、競売予備軍であることは間違いありません。
何故かと言えば、固定資産税の滞納による差押でも、実務上は2~3回ほどの督促があっても払わないから差押されるのです。強がっていてもしんどいハズです。本当に余裕があるなら、差押される前に支払ってますよね。
しかも差押された人って、差押そのものを安易に考えている人が非常に多くて、
『支払って、解除してもらえば別にええやん』
って思ってる。
でも、住宅ローンを公庫のステップアップ型(当初10年間の金利は2.5%ぐらいで、11年目から4%位になる)で借りている人は大変です。金利の安い銀行で借り換えしたくても、
差押履歴のある人は、借り換えできませんから。
いくら、滞納分を支払って、差押を解除していても(例えそれが10年以上前の話でも)履歴のある人は借り換えできません。これって、(不動産業界でも)知らない人が多いのではないでしょうか?
つまり、これを皮切りにアプローチをかけると公庫でローンを組んでいる人から電話が掛かってくる確率はグンと上がります。一度、お試しアレ。
※この記事は、2013.2.23に執筆したものを旧サイトから移植・一部修正等したものです。