地主・家主として資産管理会社を所有していたり、中小企業の代表者として株式の多くを保有している場合、相続人の「遺留分」に気を付ける必要があります。
相続の相談を受けていると、中には「夫が亡くなったけど、遺言書には愛人の××に全財産を譲ると書いてあった」という嘘のような話もありました。また、別の相談では、先代が築き上げた会社(数億円の財産)を後継者である長男が全て相続し、その妹は嫁いだ者につき、ほんの数千万円の現金でガマンするように書かれていた。もちろん、妹と妹の旦那は納得する訳がない。経営に影響がでないように長男へ100%株式を相続するなら、その代わりを用意しておく必要があります。
親の目が黒いうちは、おとなしい兄弟もいざ相続となれば、その兄弟を取り巻く外野のチャチャによってビックリするほど人が変わりますので、「私の子供達にとって、そんなことは・・・、私がいなくなれば、好きにすればいい」なんて無責任な考えをせずに、戦前の家督相続とは違いますので、事前に相続人と話しあいながら配分を決めておきましょう。
遺言でも侵せない遺留分という権利
日本においては、相続人が最低限の財産を受け継ぐ権利として「遺留分」というものがあります。この遺留分は、法定相続人の組み合わせによって変わってきますので、あなたが残す立場であれば、後継者や愛人に全てをあげたくても、その遺留分だけは最初から考慮しておかないと揉めるもとになります。
遺留分とは?
遺言書によって、法定相続人に不利益な事態が発生した場合に、法定相続人の最低限の利益を守る為に民法が規定するもの。
法定相続人の遺留分を侵す遺言書も無効ではなく、遺留分を取り返す手続き(遺留分減殺請求)をするかどうかは、法定相続人の自由です。しかし、この遺留分減殺請求権は、遺留分を請求できると知った日から1年間、相続開始から10年以内に行使しないと消滅します。
遺留分を算定するときには、被相続人(故人)が相続開始前の1年間に誰かに贈与した分も含めて計算します。
又、遺留分減殺請求という手続きは、配達証明付きの内容証明郵便などで意思表示をする程度のものであり、それに対し、相手が応じなければ家庭裁判所に調停の申し立てをします。もし、応じてくれるなら、必ず内容を書面化しておきましょう。
各相続人の遺留分の割合
配偶者と子
配偶者が1/4、子が1/4
配偶者と父母
配偶者が1/3、父母が1/6
配偶者と兄弟姉妹
配偶者が1/2、兄弟姉妹は無し
配偶者のみ
配偶者は1/2
子のみ
子は1/2
父母など直系尊属のみ
直系尊属は1/3
兄弟姉妹のみ
兄弟姉妹に遺留分はありません
相続で揉めない為に必要な遺言書の作成
遺言書の作成は私達リアルターでも相談を承っていますが、身近な弁護士、司法書士、行政書士、相続診断士などの専門家がいらっしゃれば、その方に相談されることをおすすめします。遺言書作成費用は、遺産額な遺産内容、そして相談される先にもよりますが、15万円~50万円程度が目安です。公正証書の場合は更に公証人への費用などが必要です。
自分で作成する自筆遺言書の書き方については、この相続対策塾の3学期で学んでいきます。
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