さて、今回は差押情報(見込み客)リスト内の案件の登記を調べて追客する際に、コストは安いが所有者名と所有者住所の2つしかわからない『所有者事項』の登記をあげればいいのか、それともコストは高いが所有者名や住所はもちろん、どこが差押さえたのか?ローンはいつ、いくら、どこで借りたのか?他の差押さえの有無、他にも不動産を持っているのか?(共同担保目録)、物件の大きさ、前所有者は誰か、その人がいつから所有しだしたのか?など非常に多くのことが読み取れる『全部事項』の登記をあげればいいのか?ということについてザックリと検証してみます。
不動産業者さんが任意売却案件の仕込み営業をするという前提で、見込み客リスト(差押情報)内の「処分の制限に関する登記」(差押さえ)で、見てみます。(以下の登記調査費用は登記情報提供サービスで調べた場合)
大阪のある地区で平成24年3月分で見ますと、バッと数えただけですが、「処分の制限に関する登記」は約190件ほどありましたので、この190件を
『所有者事項』(1件あたり147円)を調べて追客する場合
リスト代(3月分) = 3,520円
調査費 : 190件 × 147円 = 27,930円
DM代 : 190件 × 120円 = 22,800円
(切手80円+紙2枚+封筒20円として)
合計 54,250円
『全部事項』(1件あたり397円)を調べて追客する場合
リスト代(3月分) = 3,520円
調査費 : 190件 × 397円 = 75,430円
DM代 : 190件 × 120円 = 22,800円
(切手80円+紙2枚+封筒20円として)
合 計 101,750円
『所有者事項』と『全部事項』との差額は 47,500円
このコスト差は、大きいですか?
また、詳しくは後日に私の体験記として、このブログで取り上げますが、私のおすすめは、何と言っても『全部事項』を調べることです。『所有者事項』の場合、『全部事項』に比べてコストが約半分ですので、たくさんのDMを(同じところへ2回~3回)打てるからと思いがちですが、一番のポイントとなるべき、
・どこが差押さえしたのか?
・差押さえは今現在も解除(抹消)されていないか?(リストが1~2ヶ月遅れの為)
が分からないので、DMを打つにしても、直接訪問するにしても、切り口が
「〇月に、なんらかの差押さえがされたと思うのですが・・・」
と、弱くて曖昧なアプローチになってしまいます。
又、営業マンが時間を割いて留守がちな日中に1軒1軒訪問しても、やっとの思いで会えた所有者から
「ああ、アレね。もう大丈夫だから結構です」
と言われると、「アレって何なのか?大丈夫なら、なんで差押さえされるまで放っておいたのか?」と営業マンとしては納得いかないまま、次の物件へ向うことに・・・。
ところが、『全部事項』の場合だと今回、どこが差押さえしたのかはもちろん、税金であれば、過去にも差押さえがあったか、あれば、差押さえされてからどれくらいの期間で解除(抹消)しているか、住宅ローンはいくら借りたか、借入先はどこか?などがわかるので、アプローチのやり方が、ズバッと的を得ているので話も聞いてくれ易いし、何よりも営業効率がダントツに良くなります。
賢い営業さんなら、いきなり任意売却で・・・と攻めずに、例えば、10年ほど前に公庫で借入している人なら、ステップアップローンなので、そろそろ金利が4%ぐらいになる(又は、なっている)ハズということで、住宅ローンの見直しなどからジャブを打って、任意売却へ・・・
孫子の言葉にも
【敵を知り己を知れば、百戦危うからず】
というのがあります。正直、上記のコスト差なんて任意売却案件を1件でも決めれば、何倍にもなって返ってきます。
ぜひ、お試しアレ。
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