物上げ日記

物上げ日記-その1 飛込訪問でよくある4つのパターン

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さて、今回は以前に、不動産登記受付帳の処分の制限に関する登記(差押)をもとに物上げをしていたある日の出来事についてです。


その日は、大阪市のある区内だけで30件程の差押された物件がある為、物件の判別だけでもできればいいか・・・というノリでチャリンコで飛込訪問をしていました。

 

日中に飛込み訪問してよくある4つパターンが、

留守(共働きが理由でしょう)←ダントツに多い

・嫁さんと話できるが『私は分かりません』(本当は分かってるハズですが)

・会えても『あれね、もう大丈夫だから』

居留守(訪問営業か取り立てと勘違いされてる)

などですが、そんな中で、あるマンションの区分所有物件の物上げに成功しました。

 

ピンポーン♪

嫁「はーい、どちらさん?」

私「わたし、〇〇と申しまして、ご主人名義で所有されているこちらのマンションが差押されたと知りまして、ご自宅の件でお伺いしたんですが、今、少しだけお時間、大丈夫ですか?」

嫁「・・・」

私「あのー、ここはエントランスなんで、周りのこともあってお話しづらいんですが、玄関先でも結構ですので、上にあがってもよろしですか?」

嫁「あ、はい・・・」

ブィ~ン(オートロックのドアが開いた)

私はドアの前まで行くと軽くドアをノックした。すると、ドアがゆーっくりと開いて隙間から女性の顔が見えた。

嫁「どちらさん!? 何の用!?」

私「いや、ですから、不動産屋です。取立てと違いますから安心して下さい」

嫁「何を見て来たん!?」

私「法務局で調べ物してたら、偶然、奥さんところの差押さえが目に入りましてね。たぶん、困ってはるやろと思いまして、おこがましいかも知れませんが、お伺いさせてもらいました」

嫁「そんなん、個人情報ちゃうの? 勝手に見られても困るわ・・・」

私「いやー、ところがコレは個人情報うんぬんじゃなくて、正式に手続きしたら誰でも見れるモンですから。それに、私達がコレを知ったからって回りや誰かに言いふらすワケでもなく、逆に力になれるかも知れないので、奥さんも困ることは無いハズですよ。変な心配は、せんといて下さい」

嫁「そうなん?」

私「ところで、今は色々と大変な状況やと思いますが、今回の差押さえは〇〇市税からされているんですよね。今は、税金を数百円滞納しただけでもあの人達は、差押さえする費用も関係なく、事務的に淡々と差押さえしてきますからね。この前お会いした人なんかは、500円の滞納でやられたみたいですし(^_^;)」

嫁「うちは、昨年から遅れ気味やけどね」

私「どれぐらい溜まってますの?」

嫁「うーん、20万円くらいかな」

私「それって、昨年どころじゃないでしょ?多分、この物件なら年間でも10万ちょっとやと思いますし・・・」

嫁「よく分からんけど、そうかな」

私「郵貯や積み立て型で満期返戻金のある生命保険なんか掛けてたら、解約で引き出すかなんかせんと、ドラえもんのジャイアン並みに一方的に解約されて没収されますよ。そんな通知来てませんでした?」

嫁「まだ、来てなかったと思うけど・・・」

私「早くしといた方がいいですよ。事前に換価しますよって親切な手紙は来ずに、郵貯や保険屋から『お上の言う事なんで、やっておきました』と事後報告だけが届きますんで」

嫁「そうなん!? ええこと聞いたわ」

私「ところで、差し支えなければでいいんですが、住宅ローンって滞りなくお支払いできてるんですか?」

嫁「一ヶ月遅れで何とか払ってるけどね。知り合いの不動産屋に相談したら、金利の安いところに借り替えたらって言われて、銀行に相談にいこうかと思ってたとこなんです」

「無理ですよ」

嫁「!?」

私「遅れて支払ってるって事は、奥さんところは、いわゆる『ブラック』ですやん。銀行からすれば、事故者で個人情報の登録機関にもご丁寧に刻まれてますよ。そんな人に他の銀行は、貸してくれません。奥さんところの場合は〇△×〇・・・」

嫁「そんな事、知り合いの不動産屋は言ってなかったけど・・・」

私「その知り合いの業者さんって、ここを買われた時の不動産屋さんじゃ・・・」

嫁「そうです」

私「たぶん、販売や一般の仲介をメインでされてるんでしょうね。おそらく、奥さんところみたいな状況になった人には、どんな手が打てるのか、どういう流れになるのか、どうするのがいいのかとか分かんないと思いますよ。弁護士や司法書士の無料相談なんかに行っても、相談者の本意や今後を深く考えず一方的に『破産』を勧められるだけですし。まあ、彼らもそれが商売なんで、仕方ないでしょうけど。でも、私達は、買われた後で困った方を支援するのがメインで、それをアドバイスするのが仕事ですから。相談は一切無料なんで、今度、ご主人が居てはる時にでもまた伺いましょうか?」

嫁「そうしてくれる?」

私「じゃあ、念の為お電話番号だけ聞きしといてもいいですか?

 

こういう流れで、電話番号だけと言えば、心理的にも負担が少なく案外あっさりと教えてくれる人が多いものです。

その2日後くらいに奥さんへ電話をかけて、ご主人に話をしたかどうかを確認し、ご主人が在宅している休日に再訪の約束をして、その後、このままでいくよりも任意売却をする方が得をする事を説明し、専属専任媒介をいただきました。

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