さて、年明けて早1ヶ月が経ちますが、物上げの調子はいかがでしょうか?私の周りでも1人で4件の媒介を取った人や1件も取れなかった人までいろいろですが、『今年はせめて、手取りで2000万円ぐらい持って帰るぜーっ』と目標を口に出して言っているのは、前者の方であります。
物件を訪問して、店子(賃借人)が出てきた時のアプローチ
さて、今回のテーマですが、状況としましては裁判所での『配当要求』をもとに物件に訪問アプローチをかけたところ、出てきたのは所有者(債務者)ではなく店子(賃借人)だった場合にどうするかについてです。このようなケースでよくあるパターンが次の2つです。
① 任せているところがあるので『不要』と言われるケース。
② 店子自身も所有者(家主)と連絡が取れず『不安』になっているケース。(所有者が逃げている)
①の場合は、所有者自身又は、誰かからの入れ知恵で絵描きをしている事も多いので、深追いしないのが私の持論です。『そうですか。このまま競売が進めば、ほぼ強制退去ですが、もし、お困りでしたら、このまま住み続ける為の交渉や所有者、家主さんから引越代を取る方法もありますので、いつでもお声を掛けて下さいね』と言って名刺を渡す程度で終わらせるほうが良いと思います。(所有者が絵描きをしていなければ、時間が経って不安になった店子から電話が掛かってきたりすることもあります)
②の場合は、店子が今後どうしたいのかによって変わってきますが、任意売却をするには所有者を捕まえて、媒介を取らなくてはなりませんから、所有者の居場所をつきとめなければなりません。
謄本(全部事項証明)を見て、競売開始決定の差押登記以外に、市税事務所などによる差押登記がされている場合、差押をした時点に住民票をおいている住所が記載されていますので、それを頼りに所有者のもとへ訪問します。ところが、その差押が最近のものであればよいのですが、数年前のものであれば、更にそこから他へ移っている場合があります。
そんな時は、物件(店子)および所有者あてに送られてくる裁判所からの通知書類の中に『当事者目録』というものが入っている事が結構あります。いくつかある通知書の中でも一番最初に送ってくる『競売開始決定通知書』にはほぼ、100%付いています。
この当事者目録には、競売を申し立てた債権者の氏名・住所と競売を申し立てられた債務者の氏名・住所が記載されており、債務者の住所については、謄本上の住所と競売開始決定された時に住民票のある住所が記載されています。大抵の場合は、これで所有者の居場所が分かるのですが、住民票を動かしていない(物件と同じ住所などの)場合、別の方法(『転居先調査マニュアル』参照 ※1)で探す事になります。
めでたく所有者と面談できて媒介をとることができれば、債権者と交渉・販売活動を進めると同時に、店子には2~3ヶ月の家賃支払いを止めて、その分を引越し代とし、賃貸仲介手数料不要で早めに出てもらって、サクサクッとさばいてしまうのが良いでしょう。
※この記事は、2013.1.30に執筆したものを旧サイトから移植・一部修正等したものです。
※1 現在は、販売していません。