今回は、『任意売却【物上げ】マニュアル 31のノウハウ編』の中から1つ取り上げてみました。
破産管財人が財団放棄した物件を任意売却するには
私が裁判所での配当要求をもとに債務者へアプローチをかける時は、少しでも手がかりを掴む為に、先に
①所有者(債務者)名をネットで検索します。
すると、ある法人の代表者だったりすることも稀にあります。
②そんな場合は、『〇〇会社 破産』とキーワード検索をすると、
破産していればJC-NET(ジェーシーネット)などのサイトで、破産情報が出てきたりします。(JC-NETでメルマガ登録すると、無料で倒産速報Eメールが届きますよ)その破産情報には、破産管財人 〇〇〇〇と書かれているので、
③今度は破産管財人の名前をネット検索します。
すると、破産管財人が所属(勤務)している弁護士事務所(破産管財人とは、破産者の財産を管理・換価する為に裁判所が登録弁護士の中から無作為に選んだ弁護士の事)が出てきて、電話番号も分かるので、電話を掛けて破産管財人にアプローチを掛けてみます。
電話の掛け方の例としては、
営業マン 「いつもお世話になります。私、〇〇不動産の◯◯と申しますが、
〇〇先生はいらっしゃいますでしょうか?」
受付 「恐れ入りますが、どのようなご用件でしょうか?」
営業マン 「失礼致しました。実は、先生が破産管財人として
担当されています〇〇会社 代表者〇〇さんの
不動産について、お尋ねしたい事がございまして・・・。」
受付 「少々、お待ち下さい。」
管財人 「代わりましたが、何か?」
営業マン 「お忙しいところ恐れ入ります。私、〇〇不動産の◯◯と
申しまして、長年、任意売却を専門とさせていただいて
おります。先生が担当されいる〇〇さんの〇〇区の不動産が
今日、裁判所の公示に出ましたので、先生の方で
今後、どのようにお考えかなと思いまして、お電話させて
いただいたのですが・・・」
このような問い方をすると大抵の場合は、
①入札方式で考えていると言われる場合
②財団放棄したので当職は関係ないと言われる場合
のどちらかの答えが返ってくる。
①入札方式の場合は、
営業マン 「先生、入札方式はとても手間で面倒な作業です。
先生のところでは、ここに任せないといけないという
不動産業者がおありですか?」
管財人 「そういうワケではありませんが、
いつも任せているところはありますので・・・。」
営業マン 「そうですか。それなら安心ですね。私どももよく、弁護士の
先生方から任意売却の依頼を受けていますので、いろいろと
心得ております。次回からでも私どもにお任せいただければ、
◯◯◯が不要な◯◯◯◯というワケではありませんが、
先生にとってもいいお話ができると思いますので、また近々、
ご挨拶にお伺いしたいのですが・・・」
⇒このように切り込めば、面会してもらえる可能性が出てきます。もちろん、ワ〇ロを渡すなんて言ってはいけませし、相手の職柄を考慮した内容でアプローチしましょう。
管財ルールでは、より公平にが大原則の為、昔に比べて今は『入札方式で・・・』ということになり、特定の業者と専属媒介を取り交わすことはほとんどありません。(表向きは入札と言っていても、実際は、どうかわかりませんが)
管財人が本当に入札を行うつもりであれば、【趣意書】というものを作成しているはずなので、FAXで送って下さいといえば、送ってもらえます。今回の件では任意売却を任せて貰えなくても、管財人(弁護士)とお近づきになるいいキッカケなので、有効に活用しましょう。
②財団放棄の場合は、不動産の所有者が『法人』なのか『個人』なのかによってアプローチ先が変わります。
『法人』の場合は、破産手続きによって法人そのものが消滅してしまう為、財団放棄で破産管財人の手から離れたといっても、任意売却をする場合には、破産管財人に売主となってもらい、ハンをついてもらう必要があります。管財人と仲良くなっていれば可能ですが、基本的に管財人にメリットは無く、面倒臭いだけなので協力してくれることはほとんど無いでしょう。
『個人』の場合は、財団放棄された後、不動産の管理責任は所有者へ帰属するので、所有者へアプローチをかけて、媒介と委任状を取る必要があります。ただ、こんな状況での所有者(債務者)は、『管財人(弁護士)に全て任せているので・・・』と、こちらのせっかくの好意に全く耳を傾けない人も多々います。そんな人は、相手にするのも時間の無駄ですので、放っておきます。
ちなみに財団放棄の場合は、なぜ放棄したのかを管財人に聞いておきましょう。大抵の理由は、
管財人 「債権者との抹消金額が折り合わなくて・・・」
もしくは
管財人 「債権者が任意売却に応じてくれないので・・・」
の二つです。
基本的には、債権者も破産財団として任意売却した場合、管財ルールとして売却代金の5%~10%を財団組入れ金として配分から引かれてしまうので、それなら競売の方がマシと考えるところも多いようです。しかし、抹消金額については、管財人が不慣れな場合、管財人に代わって任意売却業者が交渉に入れば、折り合いがつくこともあります。
つまり、管財人は任意売却のプロでは無いので、財団放棄された物件でも諦めず、任意売却の方向へ話しを持っていくように心がけましょう。
今すぐ『任意売却【物上げ】マニュアル 31のノウハウ編』を入手してスキルアップする
※この記事は、2013.2.16に執筆したものを旧サイトから移植・一部修正等したものです。