さて、今回は先日、任意売却の物上げをする為に、配当情報をもとに物件を回った時のことです。
暖かい日差しを感じる日の昼下がり・・・。
大阪市内にある築浅の戸建の前にやってきた私は、カバンの中から物件の資料を取り出した。すると、いつもなら住宅地図とセットにしている謄本が無いではありませんか。どんクサイ事に、忘れてきたようです。私は、
「まあ、いいや。
たぶん、この表札に書いてある××さんが所有者やろ・・・」
とインターホンを鳴らしました。
「ピンポーッン・・」
約10秒ほど周りを見渡しながら待てど、ウンともスンとも言わない。
留守なのか?それとも居留守・・・?私は、ポストの中を覗き込んだ。ポストの中の感じからすると、(所有者なのか、家族なのか分からないが)住んでいることに間違いはなさそうだ。
電気メーターの回り具合からすると今は誰も家に居てない感じなので、私は、19時に再訪するとメモに書いて、物件のある所に仕掛けて物件を離れた。
時間が空いたので一旦、事務所へ戻って謄本を確認してみると、フラット35を使って、約4千万近く金を引っ張っている。
借入は、約2年ちょい前・・・。
骨は、木造・・・。
この辺りの当時の新築相場でみれば、どう考えても3千万ぐらいだ。
「うーむ。。。これは、行ってもムリやな・・・」
この手の案件は、私の経験上ですが9割ぐらいの確率で話にならない。
私は、1トンぐらいあるかのごとく重たい足取りで、メモに書いていた再訪時間の19時に物件を訪れてみると、なんと
窓から明かりが漏れているでは、ありませんか!
(配当要求による物上げで1番手以外は直接、所有者の顔を拝める機会は少なくなるので、いくらフラット案件といえど嬉しいものです)
「おーしっ! ラッキーッ! 帰って来とるやんけ」とチョット嬉しかった私は、物件の直前で思わずスキップしてしまった。(笑)
玄関前に立つと、すぐにインターホンを鳴らす。
「ピー・・・ポーッン!」
男の人「あ゛~ぃ」←やたらと低い声
私 「私、19時に改めてお伺いするとメモさせていただいておりました◯◯と申します」
男の人「なんの用や」
私 (あれ? メモ読んでないのか?)
ご自宅の件で、お力にれればと、お伺いしたのですが・・・」
男の人「だから、何の用やねん!」
私 「いや、ご存知かと思いますが、ご自宅の競売の件で私どもなら・・・」
男の人「おう。チョット待ってや・・・今から下がっていくわ」
(玄関からスエット姿の40歳前後の男が顔を出した)
男の人「まあ、入ってや」
私 「いいんですか?」
私は、男の言葉のとおり、玄関に立ち入って、ドアを閉めた。すると男は
男の人「おう、ワレッ!人の家の前で、何デカイ声で、競売って言うてんのじゃ!おっ!?」
私は瞬時に思った。案の定、当たりクジ引いてもうたーっ・・・と(笑)
私 「えっ?別に、何もデカイ声で言ってませんけど・・・周りに聞こえないように、インターホンにめっちゃ近づいて、小さい声で言いましたよ。モニターで、私の顔がドアップになってたでしょ」
男の人「俺の後ろにはな、名前聞いたらお前らビビッてまうような人が付いてるんや。どないしてくれんねん」
私 「え? どなたですか?私も、こんな仕事してたら、そら、いろんな人とお会いするんでね。もしかしたら、知ってるかも知れませんわ。ちなみに、どないしてくれんねんってどういう意味ですか?私、頭悪いんで、分かりやすく具体的に教えてくださいよ」
その男は、こんな事をすれば、みんながビビると思っていたのでしょうけど、正直、こんなケースどころか監禁された経験もある私には耐性があったので、その男は、すぐに言葉が出なくなり「もう、二度と来ないでくれ」と言ってその場は、終わりました。
以上のように、物上げをしているといろんな人と出会いますが、築浅のフラットは、残債が多いことや他の要因などで任意売却しにくいので、深追いはしないというのが持論です。
但し、フラット35そのものは、2004年ぐらいから世に出てきたので、築浅でない(つまり、5年以上経っている)場合のフラット35であれば、純粋にローンが返せなくて競売に向っているケースが多いので、追客して任意売却へつなげる価値はあると思います。
※この記事は、2013.5.18に執筆したものを旧サイトから移植・一部修正等したものです。