不動産の雑学

福祉事業者のM&A 流れと注意点

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不動産仲介をしていると稀に不動産を所有する事業者から経営不振や後継者問題などの理由から物件の売却や賃貸仲介の相談を受けることがある。

そんな時、状況によっては不動産仲介よりもM&A(merger and acquisition /マージャ・アンド・アクイズィション)という企業買収の方が良いこともある。

M&Aの詳細は他のサイトに譲るとして、ここでは不動産コンサルタントとして知っておくべきことを簡単にまとめてみたので参考にしてほしい。

M&Aの手数料

ちなみに、M&Aをサポートするには、宅建免許のように特別な資格は不要だ。知識と人脈があれば、企業買収のアドバイザーとして報酬を得ることもできる。

M&Aを専門にサポートしている会社の多くは、レーマン方式と呼ばれる報酬体系(取引額が大きいほど手数料の料率が下がる方式)を採用しているが、法律で決められている訳でもなく、中には最低報酬額を設けているところもある。

私が知る地方銀行では最低報酬が2000万円、信用金庫で1000万円、私の場合は500万円と決めている。

なので、私が仮に1億円の物件を売買仲介しても手数料は最大で約300万円(両手でも600万円)だが、M&Aをサポートした場合なら売主から500万円、買主から500万円の計1000万円となる。

M&Aのメリット・デメリット

物事には必ずメリット・デメリットがあるので、M&Aについて簡単につかんでおこう。

M&Aのメリット

【買い手】
・スケールメリット(シナジー効果)
・他業種参入しやすい(時短)
・節税

【売り手】
・後継者問題解決
・廃業コスト不要(返済・原状回復等)
・創業者利益

【仲介業者】
・不動産仲介手数料よりも儲かる

M&Aのデメリット

【買い手】
・馴染むまで時間がかかるかも
・期待するシナジーが出ないかも
・想定外の簿外債務があるかも

【売り手】
・売却まで時間がかかる
・希望金額で売れない
・買い手による社員解雇等

【仲介業者】
・知識、書式が無いと参入コストが高い(契約書のひな型は100万円程度)
⇒M&A専門会社から購入できるが、顧問弁護士に作成を頼むと割安で入手できる可能性もある

M&Aの流れ

1・アドバイザリー&守秘義務契約
2・決算書内部資料調査、会社名を伏せたノンネームシート(概要書)を作成
3・買収会社探し
4・トップ面談、条件交渉
5・基本合意書締結
6・デューデリジェンス(買収監査)
⇒買い手がリスクの洗い出し確認を行う
7・譲渡条件の確定、契約締結

いくらで売れるのか?という疑問に対しての答えは、
M&Aは相対交渉で決まるのが原則。

ちなみに、査定(評価)対象は「純資産+事業収益×○倍」が一般的である。

通常、企業価値を調べるデューデリは買い手が税理士に依頼し、調査費相場も100万円以上するが、トータルで見れば安いコストである(デューデリ前にある程度の内容を検討した上で発注する為)

資料で何を見る?

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M&Aでは、売り手が不動産を所有していることも多い。

例えば、売り手が老人ホームを所有し運営している福祉事業者の場合、押さえておくべきポイントは以下のとおり。

【建物関係】
・定期報告状況(建築・消防の点検業者と費用)
・レントロール
・消費税割合
・固都税(新築軽減有無)※サ高住などは個室(共用の案分面積含む)が30㎡以上で長期優良住宅と同じ新築時から7年間減税がある
・建設補助金の有無と内容(生活支援も併設?)
・建築と消防の検査済証の有無
・竣工図面の現物確認
・建築時の地盤改良報告書
・テレビの受信方式(アンテナ、ケーブル等)
・残置物をリスト化
・エレベータメンテ業者と維持費

【運営関係】
・決算書(負債は特に買掛、支払手形、未払金と支払い条件を把握すること)
・売り手の債権者の同意は?
⇒代表者の個人保証を変更・外せるか?
・株券発行してるか?
・株券の譲渡制限の有無(株主総会・取締役会・代表取締役)
・業務連携先(給食・医者・薬局・用具レンタル等)
・残留スタッフの年齢と月給(交通費とも)
・オフバランス(簿外債務)
⇒貸借対照表にない債務(退職金、コピー機のリース、社長の個人保証、もめごと、会社の保証など)

以上が不動産コンサルタントとしても知っておいた方が良いM&Aの概略だ。

ちなみにM&Aの形態はいろいろあるが、一般的に多いのは株式譲渡

株式の場合、売り手は譲渡益に対して20%の所得税がかかるが、不動産譲渡税よりも得するケースが多い。(株式を法人所有していたなら通算)

一方、買い手の方は不動産のように取得税や消費税が不要になる。この点は非常に大きいのではないだろうか。

大阪でのM&A相談は
TEL:072-350-5725
受付/9:00~21:00

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