物上げ日記

物上げ日記-その62 物上げで狙うべきエリアと情報源

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いつも物上げ日記をご覧いただき、ありがとうございます。不動産コンサルタントの坂口貴長隆です。

今回は、物上げ日記であなたの問題を解決しませんか?に投稿いただきました奈良県在住の40代の方の「自分がやっているエリアと狙うべき情報は正しいのか?」という悩みについて、私の経験と個人的な意見にてお話しさせていただきますので、ご参考になれば幸いです。

「やりたい事」と「やれる事」は違う

本題に入る前に、あなたが「できる事」は何か?を今一度、えんぴつとノートを取り出して思いつくままに箇条書きにしてみましょう。

この「やりたい事とやれる事は違う」というのは、私が起業する際の送別会で、お世話になった師匠からエールとしていただいた言葉です。

あなたが、不動産業者として今までの実績がそこそこあり、現金(なければ、借入)で「買い取り」が出来る場合と、起業したてや法人化しておらず、現金や借入で「買い取り」が出来ずに「仲介しかできない」状態では、アプローチが変わってきます。(実際は、買い取りを謳って仲介しかできない業者もいますが)

しかし、心配しないでほしいのは、どちらの場合でも「同じターゲット」を狙えるということです。

例えば、10億円の土地を即金で買取りできる業者も少ないですが、買取り出来ないなら、買える人とあなたがつながっていればいいだけの事です。

ここで、言いたいことはあなたが「個人事業主」(つまり、物上げで動けるのは自分のみ)なのか、「会社の社長」(つまり、物上げで動くのは自分以外)なのか?によって、戦い方が違うということです。

今回は、あなたが独りで戦う個人事業主だと仮定してお話ししますね。

狙うべきエリアは?

需要のある行政区を狙う

物上げで狙うべきエリアは、一言でいえば「需要のある所」という事に尽きます。

いくら専属専任で売り物件を預かっても、欲しい人が1人もいなければ売れませんので、まずは客観的なデータを参考にして物上げエリアを決めるようにします。

需要を図るデータはいろいろとありますが、私のおすすめは総務省統計局や各市町村が発表している「世帯数の推移」を見ることです。

住宅・土地統計調査(平成25年版・大阪府)

今の日本は、少子高齢化で全国的に人口が減少しつつありますが、世帯数は核家族化によって増えつつあります。

つまり、昔のように親と同居するのが当たり前じゃない今の世代では、結婚と同時に賃貸や持ち家にかかわらず「新たな住まい」が必要になるわけです。

見るポイントは、世帯数が減少傾向になっていないか?ということ。

横ばいや上昇傾向なら大丈夫ですが、減少傾向なら、そのエリアでのマーケットが縮小しているということなので、エリアを変えるべきだと言えます。

こんな事を言うと、その人達の実家など空き家が多いと言われる中で、賃貸や新規購入の需要があるとは思いにくいと言う人もいらっしゃいますが、不動産は字のごとく「動かせない」のでその人達にとって「立地が気に入らない」「不便」などの理由で、放置されているものが大半でしょうから、私は需要があると推測しています。

競合の多いエリアを狙う

よく「競合が少ないエリア」がいいと思われがちですが、それは間違いです。

世の中には「先人」や「上には上がいる」もので、全く新しいビジネスカテゴリーなら話は別ですが、どんな業界・どんな場所でも必ず競合は存在します。そして、競合が多いということは、その業界・その場所で「商売が成り立つ」という証拠なので、逆に競合が少ないエリアは、あえて参入するところじゃないと言えます。

需要を作れば頼られる

少し話が脱線しますが、山林や郊外の耕作放棄地でもあなたが需要を作れば、商品になります。

例えば山林であれば、キャンプ場経営をしたい人を見つけるとか、調整地域の田畑であれば、「障碍者施設へ農業付き施設を地主に建ててもらうので借りて運営しないか?」とか。

調整地域でも接道があるなら、車の休憩所となるコンビニを地主に提案する(調整地域でも内容によって土地活用ができるので、詳しくは建築指導課や都市計画課に確認しておきましょう)など。

もちろん、あなたが需要を作ったなら競合を気にする必要はありません。地主やテナントへの提案が出来るのはあなただけですから。

狙うべき物件とは

どんな物件を狙えばいいのか?

これは、あなたがどんな「買い手」をストック或いは見つけやすいかによって決まります。物上げで専属専任媒介が取れたら、レインズに載せるだけの買主を探さない片手商売なら、物件の種別にこだわる事はありません。

しかし、片手商売でも、あなたが個人事業主なら私のおすすめは「事業用」です。

実際に物件を見て回る

あなたが狙うエリアが都心部であれ郊外であれ、ビルの事務所や店舗、ロードサイド店舗などが多数あるはずです。しかも、よく見て回ると空室となっている物件がいくつもありますよね。

事業用をおすすめするのは、「売買価格が大きい」「オーナーが困っている」の2点につきます。事業用物件は保有してみると分かりますが、マンションなどの「住宅」とちがって、

・家賃共益の消費税が必要

・住宅よりも固定資産税が高い

・立地によって業種が限られる

など、居住用に比べてオーナーの負担が案外と大きいのでタイミングを見計らって売りたいと思っているオーナーも少なくありません。もちろん、事業用オーナーへのアプローチは「売りませんか?」と直球でも構いませんが、ピッチャー返しをくらう確率が高いので、まずは「客付け」の提案から入り、実際に客付けをしてから売却提案(実際には、資産の買い替えで、売った後に買いも任せてもらい、その後は管理を受託する)を行います。

お分かりだと思いますが、郊外でもちょっとした事業用物件であれば売買価格が5千万円以上と1件がデカいので、両手で2件ほど決めれば贅沢しない限り、1年くらいは食べていけます。

もし、あなたに収益物件の買い手がいなくても心配いりません。

エリアにもよりますが、収益物件を欲しがる人は、家主の会への参加や信用金庫営業マンからの紹介など色々と繋がることができます。

しかし、戸建住宅などを主に物上げする場合、買主を見つけるのは、ホームズやスーモ、アットホームなどのポータルサイト頼りになりがちです。(個人事業主の場合、ポスティングで買主を探す時間があるなら、その時間を物上げに集中するべきです)

事業用は知識が必要

次に、事業用ということは用途もいろいろあるので、広く浅くというより狭くてもいいので、ある特定のジャンルを深く勉強しておく必要があります。

例えば、全国的に需要の多い高齢者介護をテナントとして誘致するなら、賃貸使用面積を100㎡以下にしないと用途変更が必要で、しかも、検査済証(もしくは済証番号)がなければ費用的に用途変更ができないこと、でも、木造2階建て以下なら検査済証がなくても割と簡単に用途変更が出来るなど。

デイサービスの居抜き物件なら次は保育所として流用できる(但し、2階以上にあるものは2方向避難として階段が2つ必要だ)けど、ビル全体の1/10を超えると消防規定が変わるなど。

整骨院であれば、鍼灸と違って「訪問して施術してはいけない」ので、完全来店型につき、人通りの多いところでないと成り立たないなど。

なんだか、難しそうだな~と思いましたか?

でも、心配いりません。誰だって最初は何も知りませんし、出来もしません。事業用の物上げについて深く説明すると長くなるので、ここでは割愛させていただきますが、事業用物件を扱う時に一番知っておくべきことは「消防法」だと言えます。

不動産登記受付帳を活用する

不動産登記受付帳についての解説はこちら

ブツ上げの基本は「困っている人」に救いの手を差し出すことです。つまり、売却する必要がある、売却した方がいいという状態の人を見つけてアプローチするのです。

不動産登記受付帳では、税金滞納による差押や競売の申し立てによる差押、こどもの給食費滞納による差押など様々な差押が「処分の制限に関する登記」という項目で表現されていますので、その物件の場所を見極めて所有者を調べて、訪問やDMを送るというやり方です。

ちなみに、処分の制限に関する登記よりもレスポンスは低いですが、「相続」登記された物件も分かります。

この相続では、所有者が住んでいる自宅である場合は、見込みがかなり低いですが、自分が住まない親の実家だったり、空地だったりすると「いくらで売れるか無料査定しませんか?キャンペーン中につき、×月×日迄クオカード1,000円プレゼント」などのキャッチで反響をとれる時があります。

アプローチをする際には、訪問であれDMであれ「競合がある中で、あなたに依頼するメリット」を常に相手の感情に響かせるように意識してください。

人は、物事を決めるのに必ず「理由」が必要ですから。

又、アプローチ先として弁護士(破産案件)や税理士(地主案件)へ営業を掛けることは「効率が悪い」ので、おすすめしません。

あなたに知り合いの弁護士や税理士がいるなら、その人達から紹介は何件ありましたか?

知り合い先ですら、紹介が期待できないのに、新規で知り合った士業から紹介を期待してアプローチを続けるのは時間のムダでしょう。そんな時間があるなら、あなたのことを「先生」と言ってくれるような人、つまり、助けを必要としている顧客へ時間を使いましょう。

フォローを続ける

不動産業界特有なのか分かりませんが、「釣った魚にはエサをやらない」という業者さんが多いように思います。賃貸の客付後の店子や家主、売買仲介での買主へのフォローDMや近くを通った際の名刺投函などを続けると結構な紹介元になってくれます。

売買仲介で1件成約した際に、手数料からわずか1万円をフォローDMの費用にストックするだけで1通100円のコストなら100回送れることになるんですよ。年2回なら50年間フォローできます(笑)

ちなみに私は、年4回(年賀状、暑中見舞い、春・秋の紹介キャンペーン)のDMは徹底していますので、紹介が来たり、賃貸の店子さんが家を買う時期になれば声を掛けてくれます。

新規開拓も一度、リスト化したら差押案件は毎月半年間のDM送付、差押案件以外は、年4回のフォローDMを送っています。

知名度は関係ない

最後に、物上げを成功させるのに「知名度」は必須条件ではありません。無いよりはあった方が良いですが、基本的にブランド(世間体)を気にするような困っていない富豪には取り巻きが多いので、入り込むことは難しいです。

お金をかけて知名度を高めるよりも、お金をかけてあなたのスキル(提案力)を少しでも高めるほうが、物上げは成功しやすくなります。

まずは、「困っている人」を見つけて「解決策の提案」をしてみましょう。

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